道生はBar〈Di〉にいた。
仕事帰り、よく立ち寄る隣駅のバー、バーテンダーは店名「バーディ」が表す通りゴルフ好きなカオリだ。
グレーに塗られた壁、木製のカウンターの内側には、いつも決まって白いシャツに黒いベストを着たカオリがいる。髪の毛をきりっと一つに結んでいる。
「もう年末ですね。と言っても、この辺りはあまり変わりませんけど」
道生の頼んだ生ビールをサーバーからゆっくり注ぎながら彼女は言うが、カウンターの端の方に小さなクリスマスツリーが光っていた。その控え目な感じは、カオリの印象とよく似ていた。
「ここまでくると落ち着くけど、会社の前の道なんて、どの樹木も痛々しいよ。LEDが負傷兵のようにぐるぐる巻きなんだ」
「そういうの、道生さん苦手そうですもんね」
扉が開いて、冷たい冬の空気とともに新しい客人たちが入ってきた。めいめい黒いコートをハンガーにかけて、カウンターに一列に着席する。
彼らは共通の知人のお別れ会があったらしく、急逝した知人の話を始めたのが嫌でも耳に入った。なんとなく、一人でその場にいるのも辛くなって、道生は今日は長居はすまいとビールを飲み干し、仕上げにいつものハイボールを頼んだ。これを飲んだら、席を立つつもりだった。
「そうだ。いらしたら、これを、お見せしようと思っていました」
と、カオリがカウンターの下から一枚のイベントのチラシを取り出す。森林とトナカイがモチーフになったイラストが全面に描かれているが、特別煌びやかさはなく好ましい絵柄だった。
イベントの日時はなんとクリスマス・イブのようだ。
大きな文字は、フランス語なのだろうか? Jouluと書かれている。
「ジョウル?」
カオリが頷き、続ける。
「ヨウルと読むようです。クリスマスという意味のフィンランド語。クリスマスのサウナ・イベントが、野外で行われるらしくて。確か、道生さん、サウナ好きだったでしょう?」
そこには、開催地として東京郊外の公園の名が記されていた。参加費も、一流ホテルのディナーくらいはする。
「野外でサウナって、テントかな。なんか最近、あるらしいけど。わざわざクリスマスに?」
いくら流行りといったって、そんな日にサウナに集まる顔ぶれを勝手に想像するだけで、どことなく憂鬱になった。それならもしかしたら、都心のイルミネーションの中を歩いている方が平常心でいられるかもしれない。
「それ、カオリさんは、行くの?」
一応、訊いてみた。クリスマス・イブは、バーも常連客で賑わうはずだ。
「昼間だけ、少し顔を出すつもりなんです。イベント自体は夜がメインらしいんですけど」
「そうか」
「どうですか? ご予定、ありますか?」
「じゃあ、一緒に行く?」
また、易々と誘いに乗ってしまう道生である。
しかし、冬にテントでサウナって、ありえるのか? とも、改めて訝しくなる。
「よかった。私の方で予約させてもらって構いませんか?」
「頼んでいいかな」と、頷く。
そんな話で退店し遅れたところ、黒い服のグループからカオリに声がかかった。
「カオリちゃん、俺、今日は白ワインを一杯もらうよ」
「ワインか。そうだな、あいつ、好きだったもんな」
そんな会話も響いてきた。めいめいに運ばれた白ワインの大きなグラスを持ち上げて、「献盃」と言う声を小さく上げた。「家のローンも子どもの学費もみんな終わってさ、これからは夫婦でゴルフでもして楽しもうって時だったって、奥さん言ってたな」「あいつらしいよ。いい加減そうなのに、約束事や待ち合わせ時間はなんでもきっちり守ったもんな」「俺はまだまだ借金、残ってるから死ねんぞ」
皆、口々に言い合っている。会ったこともない人に違いないが、皆に「あいつ」と呼ばれている人は、きっと愉快な人だったんだろうなと想像した。
飲み干したハイボールのグラスの中で残った氷が、イルミネーションのように光を弾いていた。
イベントの開催日、クリスマス・イブ、集合時間の午後三時には、冬の澄んだ空が広がっていた。大気の成層圏には熱が滞留し、冷たい空気だけが一気に地表へと降りてくる季節だ。
会場となる東京郊外の公園には、百人ほどの男女が、各自水着の上から、用意されたガウンを羽織って集まっていた。寒さにむしろはしゃいでいる感じだ。
円陣を組んで座る中央には大きな薪の火が燃えていて、生木を用いたクリスマスツリーもランドマークのように立っていた。準備されていた椅子に、カオリと並んで座る。
主催者は頭にバイキングの角の付いたフェルトのサウナ帽子をかぶっている。中央に立ち、挨拶を始めた。生気のみなぎった肌で恰幅がよく、なんとも大人の余裕を醸し出していた。ゆっくりした口調で、話し始める。彼が、今回カオリを誘った、フィンランド・サウナの伝道者のようだ。バーの客でもあるらしい。
「私は主催者の坂上です。日本でサウナの輸入の事業を始めて半世紀以上、テント式は十年ほどになります。サウナ発祥の地、フィンランドでは、歴史は2000年ほどになります。サウナの始まりは、テントでした。木こりたちが、地面に穴を掘って、石を積み上げ、火を燃やし、動物の毛皮でテントを張った。暖を取って、労働の疲れを癒やしました。
そこからサウナの形式は時代ごとに変わっていきますが、ゆりかごから墓場までの福祉国家と呼ばれるフィンランドでは、生まれた時にも亡くなる時にもサウナで身を清めます。クリスマスディナーの前にも、サウナに入ります。客人を迎える家主は、前日からサウナの準備をするのも珍しくありません」
道生の隣には、カオリが目を輝かせて座っている。涼しげな目には、炎が映り込んで見えた。
「と、いろいろ話したいことは尽きないのですが、今日は皆様で、サウナ文化の原点とも言えるテント式サウナを夜まで楽しんで欲しいと思います。どちらのテントも、もうサウナの準備は完了しています。一応、水風呂も向こうに用意しましたが、こちらは、まあ……お任せします」
カオリも、こんな表情をするんだなと道生は見ていた。少女のように頬に笑窪を浮かべて、主催者を見上げている。もしかして、今日は誘われはしたものの、カオリの付き人役だったのかもしれない。
挨拶が終わると、参加者たちは立ち上がり、めいめい、好みのテントを目指して歩き始めた。さて、どうしたものか。公園の至るところに、煙突が立ち、煙が上がっている。
キャンプ地でもよく見るような六角形のテント、避難地風の大型のテント、ドーム型の浴室のようなイグルーもあれば、底にタイヤの付いたトレーラー式のサウナもある。いずれも自分の見知ってきたサウナとは、だいぶ違う印象で面食らってしまう。
「まず少し暖まらないとね」
道生が見渡していると、
「道生さん、私は初心者なので、ご指南よろしくお願いします」
と、カオリ。どれだっていいはずだが、こんな時、なかなか決まらないのが道生である。すると、バイキングの帽子が近づいてきた。
「カオリちゃん、こっちこっち。まず、このテントから入ってみて」
と、一番小さなテントへと誘われた。カオリから「Diのお客様の杉山さん」と、なんの変哲もない紹介をされて、道生は挨拶する。どうやらバイキングも、一緒に入るらしい。
ブルーグリーンのテントだ。外からも、中を覗けるビニールの小窓が付いている。扉を開けて入ると、ベンチが四組ほど並んでいて、内部はすでに十分に温まっていた。先客たちはガウンを脱いで水着になっている。
「そう、ですよね」
と、カオリは少しはにかんでガウンを脱いだが、それは道生にというよりも、同じベンチの反対隣のバイキングに向かってのようにも見えた。
ああ、独身男である自分は、こんな時またうじうじとしている。ひとまず、真剣に汗を流そうじゃないか。
驚くことに、テント内であるのに、炎が揺らいで見えた。熱源は、薪ストーブだ。テント内で煙突式のストーブが燃えている。
「火を焚くわけですね」
道生が思わず呟くと、
「いいでしょう」と、主催者バイキングは屈託がない。
「結構、じわっとくるね」
「外は冬だっていうのに」
隣のベンチの参加者たちが話しているその声が、テントだからなのか籠ることがなく、無邪気に流れていく。そうだよな、テントのシート一枚隔てた向こうはすぐに屋外なのだ。
「薪がぷすぷす音を立てていて、こういうの、いつ以来かな。子どもの頃のキャンプファイヤーみたい」
「カオリちゃんは、気に入ってくれると思っていましたよ」
二人のやり取りに多少の嫉妬を覚えながら、道生はごく自然と目を閉じていた。体から流れ始めた汗に集中した。
「すごい、もうそんなに汗をかいてる」
額にうっすら汗を浮かべたカオリが、こちらを見て驚く。
「だいぶ、慣れてらっしゃいますね?」
バイキングが、問いかける。
「サウナ歴は、まあ。ただテントでというのは、はじめてでした」
「なんだか、焦っちゃうな。汗が出ないと損してる気分」と、カオリは笑う。
「薪を足しましょう」
自分も汗を流しながら、バイキングは、いや、もうそう呼ぶのは失礼だ、主催者である坂上氏は、ストーブの開口部から薪を入れ始めた。その都度、火がぼうっと燃え上がり、テント内に熱が広がる。
「わあ、来るな」と、参加者が歓声にも近い声を上げる。
「じんわり来る熱さが、気持ちいいですね」
と、道生は手で顔に滴るほど吹き出してきた汗を拭う。
薪のはぜる音や匂い、炎の不安定な揺らぎに心地良さを抱くのは、おそらく人間が持っている本質的な感覚なのだろう。
体の底からゆっくりと確実に温められていき、心まで解れていくようだ。いつものどこか自分の限界に挑んでいくような高温サウナとは別の悦楽があった。
「こうやって火を燃やしてもらうと、お招きされているみたいです」
「火をくべている人が、一番熱いはずでしょ」
カオリの言葉を受けて、別の参加者がそう続け、いつしか出会ったばかりの人たちの会話が交わっていく。
また逆に、火が燃え盛ると、皆は自然と寡黙になった。炎の揺らぎに、身を委ねていた。
これが、テントのサウナだったのかと道生は思う。流行の遊びでしかないとたかを括っていた。
「でも、私はもう一旦出ます」
「そうだね。一旦休憩しようか」
そう言いかけて、続けた。
「水風呂は、冷たいだろうな」
いつもなら、サウナより水風呂が楽しみなのだが、テントを出しなに坂上に訊いてみる。
「外気温と同じですから、あまりお勧めはしませんよ」
坂上は、率直だ。
「ですよね」と、外に出ようとすると、
「杉山さん、今度Diでお会いしましょう。お互い、カオリちゃんのファンとして」
汗を拭った坂上の肌は、一段と張りを増して見えた。
外に出る。真冬の寒気に包まれるが、それすら心地よい。
プールのようになった水風呂の周囲では、すでに参加者から悲鳴のような声が上がっている。すぐそばには、水のシャワーもあり、そこでは互いに水をかけ合ってはしゃいでいる人たちの姿もあった。真冬なのに水着姿の大人たちは、冷静に見れば相当な変人にも見えるが、誰もが楽しげで、そんなクリスマス・イヴも悪くはなかった。
「道生さん、私、水風呂は無理だと思うんで、ここに座っています」
カオリが芝の上にタオルを敷いて、ガウンを羽織り、両足を投げ出して座った。確かに外気だけで十分に全身が冷やされていくのに気づく。
「外気が、気持ちいいかもしれないね」
「はい、とても」
主催者が、水や缶ビール、アイスクリームなどを詰めた木製の大きな樽を運んでくる。
「いかがですか?」
「僕は早速、ビール、もらおうかな」
「いいですね」と、カオリも一本手にして、乾杯をする。
喉から体内へと落ちていき、潤っていく。
自分はサウナを少し知っているつもりだったが、案外、勝手にルールを決め過ぎていたのかもしれないなと道生は思った。
高温のドライサウナで汗を絞り出したら、水風呂につかって冷やす、少し休む。その繰り返しを三回する。これが、いつも自分で決めている密かなルーティンだった。多分サウナ好きの間では平凡なセットだ。
なぜ始めたかと言えば、これは思春期の忘れられない心地良さの追体験をしているだけだった。
「サウナ、ちょっとハマりそう」
カオリが言う。話してみようかな、と思う。彼女ならわかってくれるかな、とも。
「あ、カオリさん。ようこそ」
「芝の上に寝転ぶのも、お勧めですよ」
と、他の主催者たちがやって来た。やはり、Diの客人たちのようだ。不意に少しガヤガヤとした音になり、話そうとしていたことが、しぼんでいった。大した話じゃないから。なのに、自分だけの宝物のように、いつまでも抱えている。
「こんにちは」
主催者のグループに交じり、顔を出した小柄な女性がいた。
長袖の白いTシャツに短パン姿。黒々とした大きな瞳で、澄んだ声をしていた。チューリップの花のようなサウナ帽子をかぶっていて、一瞬、この間会ったランナーの夕顔かと錯覚した。
「お会いしたのは、はじめて、ですよね?」
道生が訊ねると、
「あら、それってよくある誘い文句じゃない? 道生さん?」
と、カオリがからかってくる。
「いや、そうじゃなくて」
と、慌ててしまう、そうそう、と言うくらいに引き受けられる余裕はないものか。
「道生さんと呼んでいいですか? よかったら、これからトレーラーの方でロウリュしますので、ぜひいらしてください」
彼女は、他の参加者たちにそうやって声をかけていき、公園の中を進んでいった。
赤いトレーラーには三角屋根と、やはり煙突がある。タイヤは二輪。車両のナンバープレートがついたステップの部分を上がっていくと、家の玄関のような扉が付いている。ここにも小窓がある。
中はすでに参加者たちでぎっしりで、彼らが浮かべている汗は相当なものだった。カオリや道生が遅れて入ると、先ほどの彼女がストーブの前に膝を付いていた。
十分な熱さがすでに満ちていたが、おそらくストーブをここまで焚かなければ普通のトレーラーハウスになるのだろう。こんな風に楽しむ人たちがいるのだなと道生は感心し、その向こうに思わず森や湖の景色を想像する。
「それでは、ロウリュを始めます」と彼女はバケツから柄杓で水を大切そうに汲んだ。
「アルク ロウリュ」
その鈴のような声色とともに、ジャーンという水の弾ける音が立ち、トレーラーハウスの中に蒸気が充満する。
「おおっ、熱いのきたよ」と、声が上がる。
蒸気は天井まで上がり、熱の膜をゆっくりおろしてくる。いい感じに、再び道生の体を汗が覆う。うん、アロマの香りもいい。
「続いて、ヒキ ロウリュです」
彼女は柄杓の水を、今度は高いところから細く、静かに注いでいった。その大きな目を閉じて、耳を澄ませているのがわかった。やがてストーブがキーンという音を立て、ズーンズーンと、蒸気機関車のように響き始めた。
とともに、信じがたい熱が、破裂した、かに思えた。頭の先から、熱さが痛いほどに伝わる。
「あち、うぉっ」
「キャ、顔が」
などと、皆慌てている。
似たような「熱い=痛い」経験は道生もしているが、それはこれまでのいたずらに熱いのとはまるで違っていた。まるで彼女のお手前を体験しているかのようだった。
事実、その熱は全身を一気に包み、爽快なくらいに汗を引き出した。ただそこにじっとしているだけなのに、体から引き出されていく汗に、道生は感動していた。こんな本格的なロウリュははじめてだった。皆がそれを共有していたかもしれない、
「そして最後にもう一回、ヤルキ ロウリュです」
最後はふわっと空間全体を包むように蒸気が上がった。
「今の三つは、何か合言葉ですか?」
参加者が問う。
「本当はもっとゆっくりと行います。アルクは最初の意味、かけ湯のイメージです。次のヒキは、汗の意味。本格的に行きますよ、という感じでしょうか。三つ目のヤルキとは、最後の意味。最後にもう一回、かる―くあがり湯のようなイメージです。その都度、外で休むのが本当です」
「二回目のが、すごかったです」
全身汗まみれになった、参加者が言う。
「このストーブは十分深いので、それができます。熱の深部にまで水を伝えてあげるんです」
「だから、あの音が」
道生が思わず言うと、
「そうです」
すべすべの頬の彼女が破顔した。
道生は結局、日暮れ前にカオリを見送ると、夜までこのイベントに残った。サウナと、冬芝の上で寝そべる外気浴を繰り返した。何度も何度も、数えるのも忘れて、繰り返した。
途中、先ほどの彼女がアイスクリームを二つ持って隣に並んだ。名前はマナさん、というそうだ。アイスクリームはフィンランド製でベリーの味だった。
「フィンランドに詳しいんだね」
道生は問いかける。
「婚約者がフィンランド人、でした、なのか、です、なのか実はわかりません。クリスマス・イブもこうして別々ですから」
「何かあって、別々に?」
「何かあってというよりは、私にまだ、向こうへ行ける何もないから。ちゃんと自立できる力を持って渡りたいんです。彼がそれまで待ってくれたら、ですけど」
呼気が白くなるほど、外気は冷えてきた。だがまだ、体に熱は残っている。
「フィンランドではさ、サウナは家族や恋人同士でも入るものなの?」
「むしろ、そういうものです。特別な相手と入ります。サウナは自分のこだわりの見せる場で、もてなす場です。フィンランドの男の人たちは、兵役に行くと斧を渡されます。木を切って、火をおこすのは、腕の見せ所です。そして、火を見て、森を見て、空を見て過ごします。寡黙な時にも違和感なく過ごせる心の通った人間同士であることを求めます」
彼女が一気に語っているのは、フィンランドにいる恋人への熱情そのものだった。サウナから上がった女性はなんと美しいのだろう。肌が、鼻先が光っている。
「私は道生さんのこと、カオリさんに聞いていました。素敵な人だから、紹介するねって。でも、なんとなく、ガードが堅いのよとも」
そうか、カオリははじめから道生にマナを紹介するつもりだったのだ。無理だよ、彼女の気持ちは今も森と湖の遠い異国にある。ずっとそこにまだ心の灯火が燃えているみたいだ。その国の人も、今、同じようにどこかで彼女を想っていたらいい。
「カオリさんが言っていることがわかりました。さっき、ロウリュの時、道生さん、音に耳を澄ませてくれていたから」
「不思議な体験だったよ」
今度は白ワインが運ばれてきた。十分、素敵なクリスマス・イブだ。
「一杯だけ、乾杯しようか」
グラスに、夜空から星の輝きが流れ落ちてくる。
第4話につづく
1962年北海道札幌市生まれ。北海道大学農学部にて応用動物学を専攻。1990年ノンフィクション『結婚しないかもしれない症候群』がベストセラーとなる。1991年『アクアリウムの鯨』発表し、小説家デビュー。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年北海道を舞台に描いた『海猫』で第10回島清恋愛文学賞を受賞。作品に『余命』『黒髪』『尋ね人』『ボルケーノ・ホテル』『移植医たち』『セバット・ソング』など。『海猫』は故森田芳光監督により2004年、『余命』は生野慈朗監督により2009年映画化される。最新刊に『半逆光』。